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速報ではなく、問いを持ち帰るという仕事(ダボス後記)
今年も、メディアリーダーのひとりとしてダボス会議に参加しました。ダボスには世界の政治や経済、テクノロジーの最前線にいる人たちが集まり、多くの発言が生まれ、ニュースになっていきます。 けれど現地にいて、私はあらためて思いました。自分の役割は、誰よりも早く情報を届けることではない、と。 ダボスには、速報性の高い言葉があふれています。刺激的で、切り取れば見出しになる発言も多い。でも、それらを追いかけるだけでは、「その先に何が残るのか」が、どうしても見えにくい。 むしろ私が価値を感じたのは、その場に散らばっている言葉や違和感を持ち帰り、「では、私たちは何を問い続けるべきなのか」という形に編集することでした。問いを立て直し、世の中に投げ返す。それが、私ができる一番誠実な仕事だと思ったのです。 一方で、大学で教える立場にある今、自分の中に小さくない違和感があることも正直に記しておきたいと思います。 学生たちは真面目です。でも、教科書的な答えや生成AIが整えたような言葉で、思考が早々に閉じてしまう場面も少なくありません。 「正解を出すこと」がゴールになり、問い
Kumi Seto
Mar 202 min read


講演という時間を「意味のある問い」に変えるために
ありがたいことに、最近さまざまな方から講演のご依頼を頂戴しています。 ご相談をいただくなかで、ひとつ感じることがあります。それは、「テーマ」や「目的」が言葉になりきっていない段階でお声がけいただくことが少なくない、ということです。 気づきや刺激を得られる機会を増やしたい。参加者にとって価値のあることを提供したい。だからまずは相談してみよう、という自然な流れなのだと思います。 一方で、講演という時間の質は、「設計」によって大きく変わります。 誰に向けた時間なのか。 その場をどんな空気で満たしたいのか。 そして、どんな「問い」を持ち帰ってもらうのか。 ここが少しクリアになるだけで、同じテーマでもまったく違う設計になります。 私は講演をお引き受けする際、このような点を事前に把握することを大切にしています。単に与えられたテーマについて一方的にお話しするのではなく、ご依頼いただいた背景や前提をお聞かせいただき、「本当に考えるべき問いは何か」を一緒に探っていくところから始めます。 たとえば、一見わかりやすいテーマであっても、「私たちは何を前提に、どんなふうに
Kumi Seto
Mar 203 min read


イノベーションの創出に必要なこと
世界経済フォーラムがセールスフォースやデロイトとともに2020年に立ち上げたオープン・イノベーション・プラットフォーム「Uplink」(アップリンク)の勢いが加速している。4年間で6万9,000人以上の起業家や投資家、専門家、パートナーからなるエコシステムを構築し、56のイ...
Kumi Seto
Feb 8, 20246 min read


ユニコーンが見た「ダボス」のリアル
世界経済フォーラム第54回年次総会(通称「ダボス会議」)が1月19日に閉幕した。今年は125カ国以上から350人の首脳や閣僚を含む約3,000人のリーダーが参加。セッションやワークショップの数は450を超え、「信頼の再構築へ」というテーマを軸に対話や議論が繰り広げられた。...
Kumi Seto
Jan 20, 20246 min read


AIは世界の不平等を解消できるのか
2024年1月15日に開幕した世界経済フォーラム年次総会2024(通称「ダボス会議」)。「信頼の再構築へ」をテーマに2,800人を超えるリーダーが集い、主に「分断された世界における安全保障と協力の達成」「新時代の成長と雇用の創出」「経済と社会の原動力としてのAI」「気候、自...
Kumi Seto
Jan 19, 20245 min read


敵か、味方か?「AI革命」への備え方
「アントレプレナーシップ(起業家精神)~グローバル経済の原動力~」をテーマに、6月27日から中国・天津で開催された「第14回 世界経済フォーラム ニューチャンピオン年次総会2023」(通称「サマーダボス」)。世界90カ国から1500人以上のビジネスリーダーや公人が集い、3日...
Kumi Seto
Jun 30, 20235 min read


消えたうわばき(記憶のかけら Vol.2)
人とは、集団とは、社会とはなにか。「信頼する」とは、どういうことか。 8歳の頃から、私はこの問いについて考え続けている。というより考えざるをえなかったのだ。安全な居場所を確保するために。 カラフルな幼稚園時代を過ごしていたわたしにとって、小学校はちょっぴり窮屈な場所だった。...
Kumi Seto
May 29, 20233 min read


6歳児、ヨセフさまになる(記憶のかけら Vol.1)
いろんな国の人がいて、いろんな言語が飛び交っていて、「あたり前」に縛られない場所。 そんな環境にわたしはいつも強く惹かれ、そしてどこか安心する。この感覚の根っこにあるのは、カラフルな幼稚園時代の思い出と、「うわばき事件」に端を発するモノトーンの記憶だ。...
Kumi Seto
Apr 26, 20234 min read


それは誰のための「正しさ」なのだろう
「あなたのためを思って」という言葉がある。 私はこの言葉が苦手だ。この言葉にはたくさんの危うさが潜んでいるから。そして、この言葉を聞くたびに苦い記憶がよみがえり、胸がぎゅっと苦しくなるから。 忘れられない思い出がある。小学生のときのことだ。...
Kumi Seto
Jan 29, 20223 min read
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