top of page
Writer's pictureKumi Seto

『未来をつくる言葉』

Updated: Jul 31, 2022



『結局のところ、世界を「わかりあえるもの」と「わかりあえないもの」で分けようとするところに無理が生じるのだ。そもそも、コミュニケーションとは、わかりあうためのものではなく、わかりあえなさを互いに受け止め、それでもなお共に在ることを受け容れるための技法である。』(『未来をつくる言葉』p.197)


2021 年から2022年へ。


新年へのカウントダウンが始まるそのとき、CNNが流したのは1971年に発売されたジョン・レノンの楽曲「Imagine」だった。


You may say I'm a dreamer

But I'm not the only one

I hope someday you'll join us

And the world will be as one


ジョンがImagineを発表した日から半世紀が過ぎた。彼が歌に描いた理想の世界は、まだ遠い。


それでも理想を手放さないこと。わかりあえないものごとを御そうとしないこと。対話と共話をへて表現した先にある、人と社会の可能性を信じること。『未来をつくる言葉』は、その勇気を与えてくれる。


『「完全な翻訳」などというものが不可能であるのと同じように、わたしたちは互いを完全にわかりあうことなどできない。それでも、わかりあえなさをつなぐことによって、その結び目から新たな意味と価値が湧き出てくる。』(『未来をつくる言葉』p.197-198)


"I'm not the only one" --ひとりではないのだ。ドミニクさんのメッセージは、個や人間という枠を超えたあたたかな希望に満ちている。


未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』(ドミニク・チェン著、新潮社)


Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page